主人がそれを持ち歩いていたことにも驚きだったが、
それをあの子の鞄(子供が持つにしては妙に大きい)に括り付けているのを見て、
明日は雨か、それとも主人が変な買い物をして夕食が抜きになるのだろうかと不安がよぎった。
いや後者は確立が高いからこの場合候補としては相応しくない。
それなら槍か。槍が降るんだろうか。勘弁して欲しい。


手際よくあっという間に付けられたそれは、あの子には非常に似合わない気がする。
それでも主人は珍しく目を細めてそれを見やるものだから、私にはもう何も言うことはない。
においを嗅いでみると、何やら布以外のものが感じ取れたが深くは突っ込まなかった。
どうせはぐらかされるのだ。



最後にという犬と挨拶を交わし、という子の眠る部屋から静かに出て行った。





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